どうせ恣意的なんだから


さて、3回に渡って送水口の形の分類をみてきました。
しかし最後の最後に、残っているのです。
前回も書きました。


どれとも分類できない、間の子たち。


普通の送水口を見慣れた後では、まさに異形のもの。
恐ろしいですよね、正体が分からないって。
しかし今回は、そんな曖昧さに目を背けず向き合ってみたいと思います。



  • 初級編1

まずは見慣れたコブラから。
パイプはむき出しだけど、壁にくっついてもいます。
何なんでしょうね、ほんとこれ。
ちなみに左側に写った腕は、ビルの警備員さんです。
コブラの周りにバリアを張っている最中です。



  • 初級編2

スタンド型かと思いきや、よくよく見ると地面からは生えていません。
下の方でパイプが曲がって、ビルとビルの狭間に消えています。
もしも夜の闇の中で出会ったら、まさかへびだとは気付かぬままに通り過ぎてしまいそうです。
済ました顔して恐ろしいタイプです。



  • 中級編

「なーんだ、いつもの壁埋設型か、全然コワクナイYO」
ほっとしてはいけません。
油断は禁物です!


これがやつの正体です。*1
レリーフと見せかけて、壁の後ろでは年季の入ったパイプをそっと休ませているのです。
さらによくよく観察すると、パイプは地面へと吸い込まれています。
さてこれは、何型と呼んだらいいのでしょう?
一つ言えることは、無理に分類して満足するのではなく、ただそっと見つめる方法もあるということです。



  • 上級編

ある日曜日、東上野をうろうろ探索していたら、ぎょっとする送水口と出会いました。

なんだこれ。
なんだこれ。


目の錯覚ではありません。
パイプが壁を突き抜けて、送水口が咲いています。


さらに恐ろしいことに、激レア縦バージョン&赤い蓋。
マニアには垂涎の逸品ですよね。
しかしなんだこれ。
わざわざ壁から出す意味がまったく分かりません。
ビルを建築する際、送水口の居場所の確保が後回しになってしまったのかもしれません。
しかし理由なんてのは、もはやどうでもいいのです。
ビックリして、思わず立ち止まって、写真を撮ったのですよ、私は。



知れば知るほどぼやけていく、分類の境界線。
すべて物事はグレースケールのようなものだと分かってはいるけれど、実感として再認識させられます。
曖昧を曖昧のまま受け入れるように、心がけていきたいです。
むりに分類したり、理解した気になると、探求は終わってしまいますから。
きっとね。




  • おまけ

上級編の全体図。*2
ビルに這う2本のパイプのうち、左側の灰色のものが送水配管です。
東上野では、上に昇るパイプまで見渡せるビルが他にもありました。
しかも日曜日だったからか、人がほとんど歩いていませんでした。
いい探索場所を見つけたなぁと思って、ほくそ笑んでいます。

*1:観葉植物が邪魔だ!

*2:コインパーキングが邪魔だ!