見れば見るほど味が出る

私は壁埋設型の、特にY字形の送水口が大好きです。
頭が丸くてかわいいし、金属の質感もよく分かるし、なによりも“平面の壁から大胆に飛び出ている違和感”がとても良いと思うからです。
なので、このブログでの取り上げる回数もだいぶ贔屓気味です。


しかしY字形じゃない壁埋設型送水口にだって、見所はあるはず!
今回はあえて、Y字形を除いた壁埋設型送水口にスポットを当てていきたいと思います。





  • 眼福

すべっとした壁に織りなす、採水口と送水口のフォーメーションが美しい逸品です。
古ぼけた金属を鑑賞するのもロマンがあっていいのですが、このようにすきっとした汚れのない表情の送水口も、目の保養になります。





  • 青春

思春期特有の悩みを抱えて深く考え込んでいるような、うつろな目をした送水口です
青い壁に映える、寄り添うような白い外部コンセントが印象的。





  • KY

せっかくデザインされたレリーフなのに、送水口が食い込んで邪魔をしています。
もっと下に設置すれば回避できるものを、まさに「空気を読まない」所業です。
そんな送水口が、私は好きです。





  • でこっぱち

上のスペースがやけに空いている送水口です。
本来ならば、ここには赤いプレートが取り付けられるのでしょうか。
片方だけはずれたチェーンが少しだらしないけれど、なかなか愛嬌があります。





  • 海月

下に垂れた白い汚れが、暗い海を漂うクラゲの触手のように思えます。
送水口自体もシミュラクラ現象によって、まるで何かのキャラクターのような不気味な顔を見せています。
うっかり触れてしまうと、トラウマ級の酷い目に遭うかもしれません。





  • チームワーク

送水口自体はごく普通なのですが、チェーンの掛け方に個性が出ている送水口です。
隣同士で互いに手を取り合って、協力しようという意志が感じられます。
チェーンを目で追っていくと、バケツリレーをみているようなリズミカルな感覚がしてきます。





  • 額縁

横長の額に収められた送水口と防火栓です。
右のスプリンクラー用送水口には真っ赤な蓋がはめられていて、作品に華を添えています。
左の送水口のチェーンは額からはみ出ていて、なんだか騙し絵的です。
ピンク色っぽく退色した禁止看板もいいですね。




Y字形ではない壁埋設型送水口はいかがでしたか。
蓋のない壁埋設型送水口は、穴がどこまでも奥深く続いていくようで、じっと見ていると少し不安な気持ちになってきます。
「君の瞳の中に吸い込まれそう」とは、まさにこのことですね。




  • おまけ

頭は壁に食い込み、足下はブロックが足されています。
元々は送水口をここに置く計画ではなかったんだろうなぁ…と思わせる設置状況がまた素敵ですね。